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2006年09月17日

ラヴァーズコンチェルトの原曲 バッハにあらず?

「バッハのト長調のメヌエット」 というと、子供の頃に弾いたことある! な人も多いかな?
   れーそらしど れーそーそー みーどれみふぁ♯ そーそーそー♪
ポピュラー編曲では、「ラバーズコンチェルト」 としても親しまれていますね。
原曲の3拍子から → 4拍子に変換されて、ゆったり するするとメロディーが流れていくような 心地よい雰囲気に。 こっちは、リラックス用BGMにも良さそう。

鈴木杏ちゃんと神木隆乃介くんが 姉弟みたいな設定だった、クノールカップスープのCMでは、鼻歌でも歌いたくなるような弾んだ曲調で、この曲が使われていました。
竹内結子さんと内野聖陽さんが出演してたドラマ 「不機嫌なジーン」 では、サラ・ボーンが歌ったラヴァーズコンチェルト♪が 主人公思い出の曲として度々登場し、おかげで ピアノ弾きへのリクエストも増えたりしたことがあったんですけれどもね。

そう、ラヴァーズコンツェルトの原曲は、バッハのメヌエット
ヨハン・セバスチャン・バッハの曲。。。

でも、ちょっと待った!
これは、バッハの作品ではない というのが、最近の定説です。

バッハのメヌエット ト長調には、BWV Anh.114 という作品番号がつけられています。
Anh がついてるのは、偽作、疑作。バッハの作品かどうか確認できないことを示します。
  バッハの作品番号について詳しくは、 BWVとは? バッハさま専用 をお読み下さい。

「ト長調のメヌエット」 は、バッハ (1685−1750) と同時代に、ドレスデンで活躍したオルガン奏者 クリスティアン・ペツォルトさん (1677−1733) のクラヴィーア組曲の中に 同じ曲があることが判明していて、ペツォルト作と考えられているようです。
BWV Anh番号といっしょに、ペツォルトさんの名前が作曲者として載ってる楽譜も 稀に見かけます。
「バッハ伝承」 などと きっちり載せてくれている楽譜の方が珍しい 不便な状況でして。
子供の学習曲としてもおなじみ、併用曲集にも 実によく収録されてるこの曲ですが、ほとんどの楽譜は 今でも堂々と 作曲者名にバッハと書かれているんじゃないかな。
私も子供の時、バッハのメヌエット として弾いて嬉しかった曲なのに、「え〜!!! バッハさんの曲じゃないのぉ?!?!?」 と大人になってからショック!をうけたのですが(笑)。
こーゆーの 子供たちにくどくど説明するのも何ですし、まぁ、バッハってことにしといた方がいいのかなぁ? ちょっと、悩む場面でもあります。

ペツォルト作曲 (伝バッハ) と、ちゃんと書いてくれていて、曲目解説で Petzoldさんについての話もしてくれてる親切な楽譜は これ。
ピアノ名曲120選 初級編ピアノ名曲120選 初級編
音楽之友社

音楽之友社 2002-03-20

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by G-Tools

バイエル後半からソナチネ程度のレベルの曲集です。
よくある併用曲集に比べて 新しめの選曲というか、若手の先生たちが好んで発表会に使う曲なんかも多くて (私も若手ということにしとこ♪)、なかなかおもしろい楽譜です。
子供たちの発表会の選曲にお悩みの 先生1年生にもおすすめします。
JR東海の奈良へのCM曲 「ダッタン人の踊り」 も、そう難しくないわりに なかなか素敵なアレンジで載ってますし、大人の独学者さんなんかも 遊んでみてはいかが?
誰でも知ってそうな有名曲半分、最近の小中学生の発表会やコンクールでは常連曲なのに、大人の学習者にはあまり知られてない隠れ名曲半分とでも言っておきましょうか。
ギロック、ハチャトゥーリアン、カバレフスキー、湯山昭あたり、子供の発表会曲では欠かせない存在の作曲家さんたちです。
正直、初級とは言い難い曲も混じっていて、レベル設定には ちと疑問を感じますが、まぁ それはそれでお楽しみ。良い目標にしてもらえればと思います。

あ、そうそう、このシリーズの上級編の楽譜には、アクオス携帯のCM曲が収録されています。
プロコのロメジュリ全部はいらないけど、CM曲だけ弾いてみたい人は要チェック。
  ピアノ名曲120選 上級編 ←プロコフィエフ 「モンタギュー家とキュピレット家」 収録楽譜
  曲について詳しくは、 アクオス携帯のCM曲は? 予想外だ! で。

すみません。すっかり脱線しました。 話を本日のお題曲に戻しましょう。

バッハ伝承 ト長調のメヌエットは、
「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集」 第2巻 (1725年版)
に収められた1曲です。

アンナ・マグダレーナというのは、バッハの後妻さんです。
ケーテンの宮廷楽長として領主さまの旅に同行、2ヶ月ぶりに帰ってきたら 前妻マリア・バルバラさんは病死、すでに埋葬されていた・・・
4人の子供たちを抱え途方にくれたであろう 男やもめバッハ35歳。
先妻の死から1年半後、バッハは再婚します。新妻20歳。1721年。
結果的に妻子を捨てるような形で、自分の歳半分くらいの女性と再婚することになっちゃったプロコフィエフさんとは、ちょっと事情が違う。こちらは年齢差25歳。いえ、別に責めてるわけでは(笑)。

ソプラノ歌手だったアンナ・マグダレーナさん、先妻の子供たちの面倒もよくみて、自分も13人の子を産んで (うち6人が成人、早世した子も含めるとバッハの子供は全部で20人!)、夫の楽譜の筆写をするなど仕事もよく手伝い、大変な良妻賢母だったとされています。 まさに、作曲家の妻の鑑
悪妻持ちで有名なハイドンさんや、恐い妻にいじめられて実は喜んでたのかもしれない!?リヒャルト・シュトラウスさんちとは、えらい違いですね。
クラシック界の鬼嫁を探せ! ハイドン   作曲家悪妻伝説 R・シュトラウス VS プッチーニ

バッハは、こんな良き妻へ 感謝の気持ちと愛をこめて、自作のパルティータを冒頭に書き込んだ楽譜帳を贈ったのだろうと考えられています。1725年。
そのあとに、夫や他の作曲家の作品を マグダレーナさんが選曲して記入していき、息子のエマニュエル・バッハくんも 自作を記入させてもらったりしてるのが、これ 「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集」 と呼ばれているもの。
いわば バッハ家の寄せ書き的音楽帳で、大バッハの作品じゃないものも いっぱい。
これには 簡単な舞曲などもたくさん入っているので、バイエル併用曲集常連の曲も結構ありまして、ピアノを習ってたことがある人は、アンナ・マグダレーナの音楽帳 に含まれてる曲を、そうとは気づかずに弾いていた可能性も大です。
別にバッハの自作じゃなくても 魅力的な曲であることに変わりはないので、いつまでも初級学習曲として 愛され続けていくんだろうなぁ。
作曲者が判明しているぶんは、ちゃんと名前書いてあげないと かわいそうですけどもね。

ちなみにこの音楽帳、1740年代まで記入されているとのことで、バッハ家の歴史も感じられそう。
子供たちが成長して、作曲できるようになって、そこに記入できるようになって・・・
  「子供たちはみな音楽の才能に恵まれて、いまでは一家そろって音楽会ができます。特に、妻は美しいソプラノを聞かせてくれますし、長女もなかなか上手で・・・」
なんて、バッハが 友達にのろけてる手紙もありまして、子だくさんのバッハさんちは、みんなで合奏したり、家庭音楽会を催したり、なんだかとっても微笑ましいです。

バッハ伝承 メヌエット ト長調 の楽譜 CD

   
左から:
*作曲者名ペツォルトになってるピアノ譜。アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集からは16曲収録。その他、簡単めなバッハの小曲、バイエル程度で弾けそうにアレンジされた「主よ人の望みの喜びよ」も入ってます。
*ピアノ学習者向け? ブルグミュラー25の練習曲全部とバッハの小品集
試聴♪できます。ディスク1-14がト長調のメヌエット。その次1-15のト短調のメヌエットもペツォルト作で、この2曲で1対の作品と考えられています。
*サラ・ヴォーンのラヴァーズコンチェルトのCD

曲がピンとこない人は、試聴♪してみて! たぶん聞いたことある曲だと思う。
   ラバーズコンチェルトを試聴&ダウンロード

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ラベル:バッハ 楽譜
posted by ドルチェせんせ at 11:06| Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽おもしろネタ帳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今日9/20、ユニバーサル・クラシックスから「クラシック・スーパーベスト101」っていうのが発売になったそうです。

http://www.universal-music.co.jp/classics/special/classic_best101/super_best101/index.html

言うまでもなく東芝EMIの「ベストクラシック100」の二番煎じなのですが(笑)、EMIを質量とも上回るアーチスト陣を擁するユニバーサル・グループの底力が、どこまで通用するか見どころですね(^○^)
Posted by tn at 2006年09月20日 16:33
どこの会社もおいしい思いをしたのか、続々と新ヴァージョンで責めてきてますね。
黄金色で、究極、決定版と銘打ったこの後には、どう出るものなのか、早くも次の101シリーズが気になっちゃったり。 クラシックブーム、長続きしてほしいですねー。
下の方の主要アーティストのところに、ボレットさんの名前がない。まだ、すきまあるのに・・・
この並び順は、何?売り上げ順?どんなしがらみ?とか、ついよけいなことを考えてしまいます。
Posted by ドルチェ at 2006年09月21日 01:09
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