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2006年07月18日

アクオス携帯のCM曲は? 予想外だ!

ボーダフォンが予想外の動きをした。 予想外だ! すごい予想外だ!
と、外人さんも入り乱れての会議風景。
CMのバックでは、重たいスキップのリズムで、何やら威圧的な音楽が流れています。
結構、強烈な印象が残る曲だと思うんだけど、どうでしょう?
シャープ アクオス携帯のCM曲は、プロコフィエフ作曲の バレエ音楽です。

携帯画面が くるっと回るのが予想外なのか、「ボーダフォンはソフトバンクへ」 が予想外なのか、どっちも予想外なのか、とにかく、この曲がCMで使われるのも 予想外でした(笑)。
[2008.6月:追記
ホワイトコール24のCM曲として復活中。白ネコ会議ですな(笑)。
   CM動画、CM情報は → http://mb.softbank.jp/mb/campaign/3G/cm/
「時間切れ」篇、「私の予感」篇。 曲名も見られます。
最近のソフトバンクCMは、バッハ、チャイコフスキーと共に、プロコ様の曲が活躍。うれちい♪]


バレエ<ロメオとジュリエット> より、「騎士たちの踊り」
プロコフィエフ本人が編曲した、オーケストラや、ピアノ独奏用の組曲で登場する時は、
「モンタギュー家とキュピレット家」 の題名でよばれます。

セルゲイ・セルゲイヴィチ・プロコフィエフ  1891.4.23 − 1953.3.5 ソヴィエト
  バレエ<ロミオとジュリエット> Op.64  1935-6作曲 1938初演  (52曲で構成)
  <ロメオとジュリエット>第1組曲 Op.64bis  1936編曲・初演  (オケ7曲)
  <ロメオとジュリエット>第2組曲 Op.64ter  1936編曲・翌年初演  (オケ7曲)
  バレエ<ロメオとジュリエット>からの10の小品 Op.75 1937編曲・初演 (ピアノ独奏10曲)
  <ロメオとジュリエット>第3組曲 Op.101 1944編曲 1946初演  (オケ6曲)

第2組曲の1曲目、ピアノ独奏版の6曲目が、CMで使われてる音楽にあたります。
バレエでは、第1幕 第4場、キュピレット家の舞踏会で、騎士や貴婦人たちが踊るシーンで使われる曲として解説されます。
ずいぶん前に一度見たきりなので ちと記憶も曖昧なのですが、バレエを見た後、とにかく 一番頭に残ってぐるぐる回ったメロディーがこれでして。
プロコのロメジュリといえば、この「モンタギュー家とキュピレット家」 を一番に思い浮かべる人が 多いのではないでしょうか?
両家の威厳やら、いがみ合いやらが表現された音楽 とでもいえばいいかなぁ。
CMの しっみそっしみっしそっみ♪ の重苦しい部分にサンドウィッチされて、中間部分では、ジュリエットが婚約者のパリスと踊る 美しいメロディーも流れる曲です。

下の方で紹介しています ピアノ楽譜のリンクから 商品説明ページを見ていただきますと、初演のことなどが簡潔にまとめられていてわかりやすいです。 さすがプロの文章(笑)。

バレエ初演までに すったもんだがあったおかげで、先に組曲として発表されることになりました。
レニングラードのマリンスキー劇場 (キーロフ劇場に名称変更)、次は モスクワのボリジョイ劇場と、バレエ上演の契約 白紙撤回。 バレエでの初演は、何故か チェコの地方劇場で。
そして、これが大成功を収めて 一年後、ようやく キーロフ劇場での上演にこぎつけます。
最初、ジュリエットは死なずパッピーエンド だったのも、シェイクスピアの原作に準じて 改訂されました。 話の大筋は、原作と一緒です。

ロミオとジュリエットを作曲したのは、プロコフィエフ40代半ば、約15年ぶりで ソビエトに永住帰国した頃です。
プロコフィエフは、1918年 27歳の時に、ロシア革命の混乱を避けて、アメリカへ。(日本経由)
ピアニストとしての評価は得たものの、作曲家としての評価は今いち。
なんか、ラフマニノフさんを思い出しますねぇ。 こちらは、ソヴィエトに戻りませんでしたが。
その後 32歳からは、パリに拠点を移して活動。
新古典主義全盛期のパリでは、ロシアで革新的な作曲家だったはずの彼もパッとせず。
上手に作風をカメレオンした ストラヴィンスキー (ロシア生まれ・当時パリ在住)と 比較されては負け・・・   ストラヴィンスキーも ソビエトには帰らず、後にアメリカへ渡ってカメレオン。
次第に心は、ソヴィエトへの帰国へと傾いていったのでしょう。
1932年には ソ連市民権も認められ、パリに生活拠点を置いたまま、ソ連に何度か長期滞在して作曲注文や演奏会をこなしたりしていましたが、1935年12月 ついに 定住の決意でモスクワへ。 翌年5月には 妻子もパリから呼び寄せます。
 (バレエ<ロメオとジュリエット> は、1934年に マリンスキー劇場から委嘱されたのが始まり)

ようこそ! スターリン体制下で、当局の教えに沿った作品を書かなければ 抹殺されかねないソビエトへ。  お帰りなさい。。。

帰国前のソ連では、プロコフィエフの音楽も 熱狂的に歓迎されましたし、何度も強く望まれて 期待いっぱいでの帰国だったのかもしれません。
自分が置かれる状況をちゃんと理解してたんだか、それでも 作品を高く評価してくれそうな場所を求めて帰ってみたかったんだか、よくわかりませんが・・・
ストラヴィンスキーに言わせると、
 「この帰国は、世俗的な成功のための犠牲以外のなにものでもなく、政治に関して世間知らず
と、ばっさり。
ソヴィエトにずっといた ショスタコーヴィチは、
 「彼は予期せぬ災難に遭った。モスクワに教えにきたのに、逆に教えられ始めた」 と皮肉り。
 「チキンのように、スープの中で命を落としていったプロコフィエフ・・・」 ですって。

ソ連は1932年「社会主義リアリズム」の芸術方針を打ち出し、34年には音楽にも適用。
「形式において民族主義的、内容において社会主義的」 のスローガンのもとに、
「簡潔、明朗、真実な音楽。国家の建設、発展に役立つような音楽」 国の発展のために、万人が理解できる芸術作品を作れ、ってことらしい。

音楽家の仕事ぶりや 作品の内容などは、制作過程から監視され、問題点を改善するよう いちいちケチつけられるのです。 表現の自由など どこへやら。
当局の思惑に外れた曲と判断された日には もう、音楽における反人民的犯罪者扱い
よってたかって批判され、わたくしが悪ぅございました、と 自己批判の反省文を書かせられ、次の作品で悔い改める姿勢を見せなければ、危険思想者として逮捕、処刑されかねない・・・
そのかわり、国家に役立つ音楽と認められれば、スターリン賞!なんて栄誉に預かります。
スターリン万歳!なんて、歌作って、ご機嫌とってみたり。
すべては、国家のために。 音楽も 政治に利用する道具にされちゃったのね。

この政策に振り回され 神経すり減らした最大の犠牲者が ショスタコーヴィチという感じですが、
プロコフィエフもかなりの犠牲者だと思います。 晩年は、ほんとにかわいそうなの(涙)。
ペテルブルグ音楽院の学生時代は、権威ある ほとんどすべての教授たちと いざこざを起こしていた 伝説の男が、なんてこったい!!
自尊心が強くて 妥協ができない性格、思ったことはバシッと言わずにゃいられないタチ。
周りをどんなに不愉快にさせても、へっちゃら。 しかも、ちょー怒りっぽい。
学生時代の あだ名は、白いニグロ。 長身のイケメン。 かっこいいんだってば〜♪
ソヴィエトに帰国する以前から、音楽の単純化を目指す傾向は出ていましたので、自らソ連に惹かれて 戻っていったという見方もありますが。
野獣の如く 伝統を破壊するモダニズムから、社会主義リアリズムの音楽への転身
当局のお眼鏡にかなうような作品を、一生懸命書こうとしてたようです。
まぁ、ソ連に戻ってからも、音楽官僚たちと しょっちゅうトラブってたあたりは 変わらず?

プロコフィエフは、モスクワを本拠地に これまで通り 欧米でも活動できると思ってたみたいですが、結局、バレエ <ロメオとジュリエット> の初演の年に、移住後2度目の海外演奏旅行を許可されたのを最後に、外国旅行は禁止に。 逃げることすらできない状況。

というわけで、長くなりましたが、
<ロメオとジュリエット> も、単純明快な わかりやすい音楽を目指して書いたものです。
はっきりしたメロディーライン、登場人物や状況を 鋭く描写。
同じ1936年頃に、子供のための音楽物語 <ピーターと狼> も書かれています。
一般的には、こっちの方が有名ですかね? ピーターの主題は、CMで使われる機会もありますし。
そうそう、プロコフィエフの話で お約束のように語られるのは、スターリンと命日が一緒ってこと。 しかも、同じ脳溢血。 怒りっぽかったしね、彼。
あの時 ソ連に戻らなかったら、もっと幸せに・・・ と、つい考えてしまう作曲家さんなのです。もうやだ〜(悲しい顔)

ドルチェ、プロコフィエフの若い頃の曲、好きなんですけどもねー。
野蛮とロマンティックが同居したような音楽。嫌味な冷たさと 熱さも同居。生命力強そうだし。
上手く説明できないけど、くせになるというか、しびれると思う(笑)。
あ、やっぱ、ソヴィエト帰ってからも、十分魅力的かな♪


プロコフィエフ ロメオとジュリエットのおすすめCD 楽譜

   

左から:
オーケストラ組曲版。第3組曲まで全部。第2組曲の第1曲目が 「モンタギュー家とキュピレット家」
*バレエのハイライト版。「騎士たちの踊り」 として収録されてるのがCM該当曲。
プロコフィエフ本人のピアノ編曲版。 アシュケナージのピアノで。
*バレエ<ロメオとジュリエット>からの10の小品 のピアノ譜
 (オーケストラの楽譜は→ スコア プロコフィエフ ロメオとジュリエット2番 (Zen‐on score)


ロメオとジュリエット 試聴&ダウンロードはこちらから
ロメオとジュリエット ピアノ版で試聴する るんるん
・13が該当曲。8〜17までが、ロミオとジュリエット。 1〜4は、ピアノソナタ第6番。 5〜7は、ピアノソナタ第4番。 しっかり聴くようにっ! 第4番の3楽章が、比較的聞きやすいかと。

ロミオとジュリエット オーケストラ版で 試聴 るんるん
・ディスク1の13が該当曲。バレエ全曲版(全52曲、2枚組)

ダウンロード&メディアプレーヤーでの試聴 オケ版 るんるん
・CMの曲1曲だけですが、上記二つ、リアルプレーヤーで上手く聴けない場合はこちらで。


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主要参考文献:ロシア音楽史―『カマーリンスカヤ』から『バービイ・ヤール』まで
       作曲家別 名曲解説ライブラリー プロコフィエフ   クラシックの快楽〈2〉




posted by ドルチェせんせ at 01:04| Comment(4) | TrackBack(1) | あの曲は何? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
プロコフィエフというと、音楽の教科書に載ってる神経質そうな肖像画が思い浮かぶんで、一体どんな人生を送ったんだろうと心配してたんですが…苦労したんだ…特に祖国に帰るまでの経緯、涙ものですね。。

一方で、当時「作曲家が活動拠点を変える」というのは大変なことですよね。 それを考えると結果的に成功を手にした プロコフィエフはまだいい方だったのかなぁとも思いますけど。。。
Posted by sumito96 at 2006年07月22日 00:22
sumito96さん
トラックバックをお願いしてしまってすみません。
同年代の「ピーターと狼」の魅力が わかりやすく伝わる良い記事だったので、ぜひとも目立つようにつなげておきたかったものですから(笑)。 ありがとうございます。
プロコちゃんは、見た目まんま、神経質で すごい几帳面なお方。自尊心も強かっただけに、最高に理解してくれる聴衆を求めて彷徨った感じが。
晩年は、さらに涙ものでして。また書くチャンスを狙っていたりします。CM曲にならないかなぁ・・・
Posted by ドルチェ at 2006年07月22日 07:41
日刊スポーツの見出しが、単純に面白かったので載せておきます。

ザルツブルク音楽祭がウィーンで開幕
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060724-65200.html

んなばかな(笑)(訂正されてたらごめんなさい)
Posted by tn at 2006年07月24日 11:56
わはは!(爆)
私が見た時は、まだ無事でした。
どうせなら、国境も越えて、東京で開催とかにしちゃえば、もっとスケールでかかったのに残念!?
Posted by ドルチェ at 2006年07月25日 02:24
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Weblog: かき消された歳月
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