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2006年01月25日

展覧会の絵 − プロムナードが、おひなさまのCM曲に

人形の久月♪ ワダ エミ作・雛人形 のCMで、
ムソルグスキー 作曲 「展覧会の絵」プロムナードが流れています。
「たけしの誰でもピカソ」 ってTV番組でも 流れていますね。

モデスト・ペトロヴィチ・ムソルグスキー (1839.3.21-1881.3.28) ロシア
  「展覧会の絵」は、1874年 作曲  1886年 出版 (死後出版)

  ど れそ み |れそ み ど れ   |・・・ ってのです。 わかる?

全部白い鍵盤で弾けるように 移調してみました。 縦の線|は、小節線のつもり。

最初の小節が4分の5拍子、次の小節は4分の6拍子 で書かれたメロディーです。
その後も、1小節が 5カウント、6カウント・・・と変化し、7拍子が混じる プロムナードもあったりして。
こんな風に、1小節〜数小節ごとに、拍子が変化するのを 変拍子っていいます。
不思議さんの魅力にはまるというか、変な人が 気になってしょうがなかったりしません?
ともかく、印象的なメロディーなわけです。

プロムナード」ってのは、散歩道 の意味がありますが、ここでは 展覧会の絵を見る人の歩み を表しています。
展覧会の会場に入って行き、絵を見て、歩いて、絵を見て、歩いて、絵を見て、今度は そのまま顔をあっちにむけたら 別の絵が見えて・・・ ってな感じでしょうか。
10枚の絵と、「プロムナード = 歩み」が5回で、曲が 構成されています。
さらに絵の中にも プロムナードのメロディーが 隠れてたりするんですけどね。
ムソルグスキー談 「プロムナードのそれぞれに、自分自身の顔つきが写ってる」 とのことで、おなじみのメロディーは、わくわくしたり、しんみりしたり・・・ いろいろと変化しながら 登場してきます。
これ、次の曲 = 絵 へのつなぎの役割も果たしてるんですねー。

お友達で、画家で建築家でもあった ヴィクトル・ハルトマン(ガルトマン)が 30代の若さで急死。
彼の遺作展が開かれたのがきっかけになって、その時の絵の印象などをもとに 「展覧会の絵」が 作曲されます。
この展覧会の出品目録にない絵や、原画が見当たらない絵などもあるので、ハルトマン追悼の意をこめて、創りあげた世界もあるのでしょう。

「心の中でハルトマンが沸騰した!」 「五線紙に殴り書きする時間ももどかしい」 などと、ムソルグスキーさん おっしゃってたようで、わずか20日ほどで 書き上げてしまったご様子。
やりっ放し未完作品が多いムソルニャンとしては、珍しく。
いや〜ん、なんだかワイルド。 情熱的。 ちょっと、ステキ!?!?
ムソグルスキーさんちは、代々軍人さんを出してる貴族の家系で、彼も 陸軍士官学校を卒業、若い頃は近衛連隊の士官でした。

こんなにも熱い心で書いた曲だったというのに、出版されたのは、ムソルグスキーの死後5年も経ってから。
しかも、リムスキー=コルサコフ が、手を加えちゃって・・・
よけいなことを・・・   こちらは、元 海軍さん ですね。
当時は、この曲、たいして注目されることもなく・・・   えーと、もともとが ピアノ曲なのです。
ってゆーか、ムソルグスキーが書いたのは ピアノ版だけ
(現在は、自筆譜を尊重した原典版とか出回っています。)

その後、多くの人が オーケストラ版にも編曲しまくり。
特に 1922年の ラヴェルの編曲版によって、すっかり有名曲に なりました。
この曲を聴いたり、弾いたりする時は、オリジナルなのか、誰かがいじったものなのか、確認してみると楽しいと思います。
曲の構成まで違ってたりします。 詳しい人、トラックバックお待ちしてまーす。


では、 「展覧会の絵」 の構成を、原典版で 見てみましょう。
全部弾くとなると かなりの大曲ですが、プロムナードだけなら 中級クラスの方でも 弾けるかもよぉ?
インスピレーションの元になった ハルトマンの絵については、【 】に書きました。

♪プロムナード (フランス語) 変ロ長調 これが、TVなどでは 一番おなじみの部分かな。

1.こびと (グノムス ←ラテン語)
  地底の宝を守る神様。 怪しげな動きをします。 不気味な音楽。
  【ハルトマンの原画は、くるみ割り人形のためのスケッチ】

♪プロムナード 変イ長調に転調 繊細で美しい響きです。

2.古城 (イタリア語)
  中世の吟遊詩人が城の前で歌ってる様子か?
  【ハルトマンの遺作展カタログにはない】

♪プロムナード ロ長調 8小節
  調号♯5つがイヤじゃなければ、一番弾きやすいと思うんだけど、挑戦してみては?

3.テュイルリー、遊んだ後の子供のけんか (フランス語)
  テュイルリーってのは、パリのルーブル宮殿の前にある広場。この曲好きだなぁ。

4.ブイドロ (牛、牛車 ←ポーランド語)
  ポーランド語の「ブィードウォ」は、役畜、牛を意味する。 ロシア語の「ブィードロ」は、家畜のように従順な人間、うすのろ、馬鹿。
ムソルグスキーが友人に宛てた手紙によれば、これはポーランド語の方で、ロシア語のような意味のを描写しようとしたのではない ってなことらしいです。 牛と、それに引っ張られてる荷車。
重いものを引きずって苦労してる人々のイメージでもあるのかもしれません。
ロシアのピアニストたちの多くは、レーピンが描いた「ヴォルガの船曳き」の絵を、参考にしてるのだそうです。 ムソルグスキーの肖像画で一番有名なのが、このイリヤ・レーピンが描いた 廃人の風格漂う最後の姿。
この曲については、荷車ではなく牛の群れである、ポーランド内紛の処刑場面のスケッチである、など、解説者によって意見が違ってるようで。

♪プロムナード ニ短調 しんみりと悲しげな感じ

5.卵の殻をつけたひよこのバレエ (ロシア語)
  よくぞここまでピヨピヨした音を・・・  まじで ピョピョしてるんだよぉ!
  【バレエのための衣装のスケッチ】←カラの着ぐるみから手足が出てて、頭に鳥かぶってます。

6.サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ (ムソちゃんは、この曲に題名をつけていない)
  堂々としたでかい声の金持ち VS 金切り声の貧乏人 でしゃべります、音楽で。
  最後は、金持ちの圧勝。
  【毛皮の帽子をかぶった金持ちのユダヤ人】 【貧しいユダヤの老人】 の2枚の絵が原画。

♪プロムナード 変ロ長調 最初のプロムナードと 似た感じです。

7.リモージュの市場 (フランス語)
  ドルチェ的には、掃除がはかどりそうな曲。 市場のざわざわ。おしゃべりや言い争い。
  【この曲に相当する絵はないとされています】

8.カタコンブ − ローマ時代の墓 (ラテン語)
 .死者の言葉をもって、死者とともに (左手に プロムナードのメロディ)
  【古代ローマの地下墓地を、ランタンを持って見てる人たちの絵】

9.にわとりの足のついた小屋 (バーバ・ヤガーの小屋)(ロシア語)
  ロシアの民話に出てくる魔女バーバ・ヤガーは、こーゆー小屋に住んでるんですと。
  魔女さん、豪快に飛んでます。かっこいいっすー。 なんていかした曲なのだろう!
  【にわとりの足の上に小屋が建ってるような、時計のデザイン画】

10.キエフの大きな門 (ボガトゥイーリの門 ←ロシア語)
  途中で鐘の音っぽく、プロムナードのメロディーが 出てくるよ。
  【キエフ市の門建設のための デザイン画】  実際には建築されなかった 勇者の門。

 *自筆譜では、変ロ長調以外のプロムナードは、調号を使わずに 臨時記号で書かれています。


ムソルグスキーさんは、ひどいアル中で有名なお方。
しかも、お酒がひきがねになって 命を落としています。 厄年だしー。
長くなりすぎちゃったから、別記事にしよっと。
  (書けたよ → アル中作曲家 ムソルグスキーさんを語ろう!)


ムソルグスキー 展覧会の絵 の CD 楽譜

   

左から:
*1枚で2度おいしい。管弦楽ラベル版 & 原典版ピアノ。ベルマンのピアノです、鼻血ぶふぉー。
*ホロヴィッツ版ピアノ。ラヴェルのオケ版をさらにピアノアレンジする感じで華麗に弾いちゃいます。 っつーか、他の収録曲が良すぎるんですけどぉ。
*冨田勲さん シンセサイザー編曲版。 このジャケット、ガルトマンの描いた「キエフの大門」の一部を使ってるっぽい。魔女も飛んでますね。
*自筆ファクシミリ譜をもとにした、よりオリジナルに近い楽譜。 曲の解説なども詳しく、自筆譜や、白黒ですがハルトマンの絵ものっていて便利です。 今回の記事の参考資料として、大活躍した楽譜。

[2008.2月 記事を追加・修正しました。特に、ブイドロの項。
参考文献 : ムソルグスキー―「展覧会の絵」の真実 (ユーラシア・ブックレット No. 115) 薄い本ですが、内容の濃さではピカイチ。ぜひ読んでみていただきたい、おすすめいたします。]


試聴♪は こちら ムソルグスキー 展覧会の絵 を試聴
Pictures At An Exhibition ディスク1がオーケストラ版、ディスク2がピアノソロ版


ドルチェの ロシア五人組 関連投稿記事
  ・リムスキー=コルサコフ シェラザード について
  ・ボロディン だったん人の踊り について JR東海 いまふたたびの奈良へのCM曲
  ・バラキレフ イスラメイ について




posted by ドルチェせんせ at 22:04| Comment(9) | TrackBack(0) | あの曲は何? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ドルチェせんせい、こんばんは!コメントありがとうございやした!

しかし、相変わらず、面白いテーマと内容ですねえ。。。
どこでこんないいネタ、仕入れてこられるんですか?(築地?函館?)
『展覧会の絵』と言えば、ぱつら吹きにはたまらない曲ですね。プロムナードの冒頭の部分、練習の時には決して転ばないのに、本番では必ずコケる、という・・・・。(N響の主席だって必ずやる!)
あと、サミュエル・ゴールデンベルグ〜の後半ですね。ミュートつけながら必死で32分音符に前打音つけたりして、死ぬ思いで吹いているのにそれほど、評価されない・・・・かわいそうなトランペット吹きたち!
まあ、これはトランペットより、ピアノで弾く方がいいですわな。

つい盛り上がってしまいましたが、あっしも、こういう音楽雑学大好きです!
また、楽しみにしています♪
Posted by めいちゃん at 2006年01月25日 22:15
へぇ、へぇ〜。なんか、そんな話聞くと、オケのスコアもほしくなっちゃいます。
この曲ピアノ譜しかもってなくって。
ラッパ吹きの裏話が思いがけず聞けて、すっごい楽しいです。 へぇ乱れ打ち、満へぇ〜 出しそう。
何かおもしろいネタがありましたら、新鮮なところでじゃんじゃん教えてくださいませ。
オケ関連、知らないことばっかりなので、助けてくださいねー。
いかん。こんな話してたら、ショスタコのPコンの1番が、ラッパのとこがぐるぐる廻り始めちゃった。
夜中じゅう、頭の中で鳴り響くのだろうか・・・
おかげで、展覧会のピヨピヨがずっと鳴ってる状態からようやく解放されましたが。
Posted by ドルチェ at 2006年01月26日 01:03
ドルチェせんせ、こんばんは!
では、ドルチェさまのために、引き続き、特別らっぱネタを提供しましょうか・・・・!
プロムナードの冒頭、ラ・ソ・ド・レソミーの部分、(トランペットはB♭管なので、2度上がります)『レソミー』が『レミミー』になってしまうのが、『お約束』の転び方です。
何故かといえば、高い方のG(実音F)とE(実音D)は、3本あるピストンを全て押さない、いわゆる弦楽器でいう開放弦みたいなもので、その二つの音の高さは、唇の締め具合や息のスピードで出し分けるからです。
『レソミー』と出すには、唇を締め、息のスピードを一気に上げないといけないのですが、何せ、曲の冒頭の有名なフレーズなため、たいていのぱつら吹きは、極度の緊張のあまり『蛇に睨まれたカエル』いや、『聴衆と指揮者とオケメンバーに睨まれたカエル』になってしまうので、必ず外す!というわけです。さすがにCDやテレビでやっているもので外しているのは聴いたことありませんが。
ライブではしょっちゅうですよ!

ではまた、らっぱ吹きの独り言、書き込みしますね!
Posted by めいちゃん at 2006年01月26日 21:34
めいちゃんせんせ、へぇへぇな話を、いっぱいありがとうございます。
これを見て、未来の偉大なラッパ吹きが誕生するかもしれませんよー。
ピアニストも誕生してほしいですが。  ミュージシャンが増えますよーにっ。
せっかくピアノのブログを作られているのに、ラッパの話ばかりおねだりしてごめんなさい。
でも、自分ができない楽器の話を聞くのは、ほんとにためになりまして。 もう、興味津々。
緊張のため、勢いあまって外すピアノとは、わけが違いますねー。 すごい大変です。
べー管と書かずに、ビーフラットと書いてくれるあたり、にくい心配りです。
混乱のもとになりますものね。 さすが!です。 うちでは、ドイツ音名の話まだしてないですし。
あ、結局、一晩開けたら、またピョピョに戻っちゃいました。 魔女まで加わって、ムソちゃん恐るべし。
Posted by ドルチェ at 2006年01月27日 09:03
ドルチェせんせ〜、わんばんこ〜!!(ふるい!知ってますか?)
今日は、サラリーマン待望の『はなきん』!
(またまた、ふるい〜!!)

自分のブログに取り組もうと思ったら、ネタに行き詰まり・・・・つい遊びにきてしまいますた。

ラッパ話、いくらでもありますよ!
また、思い出したら自分のブログでなく、ここをお借りして披露しますね!
ドルチェせんせの『新鮮ネタ』も楽しみにしてますよ!
Posted by めいちゃん at 2006年01月28日 00:21
こんばんは、ドルチェせんせ。私も古い記事にコメントです。
うちには「展覧会の絵」のLPが一枚あります。演奏はアレクシス・ワイセンベルグ。で、演奏は至極まともです。がしかし、このLPには致命的な欠陥があります。というのもA面がバーバ・ヤガーの小屋で終わるんです。何が悲しゅうてキエフの大門の手前でひっくり返さなあかんねん(CDだとそんなこと必要ない)?ミニチュアスコア見たってattaccaって書いてあるのにぃ。
でもこのLP、その続きがラヴェルの「クープランの墓」なんですよ。このせいで私は一時モーリス君にハマッてたんです。
Posted by bwv582 at 2006年12月11日 00:03
bwv582さん
過去記事コメント大歓迎です。 掘り起こしてもらえるとすごく嬉しい♪
展覧会の絵、そんなとこでぶち切るなんて、何考えてんだよー!バカバカ〜!ですね。
ラヴェルを先に入れるとか、もっと犠牲の少ない場所で分割できなかったのかしら。
たしかにあの曲、アッタッカだらけだけで、時間調整難しかったのかもしれないけど、よりにもよって最後のいいところで切らなくても。うー。
クープランの墓は名作ですよね! ワイセンベルク様の音だと、こっちのが良さそう。 彼だと、アル中の狂気のイメージがわかない。でも、聴いてみたいけど。
昔、友達が買ったワイセンベルクのCDをえさに、このおじさんかっこいい!と騒ぎになったことがあります。最近も、中古やでかっこよく写ってるCDを見つけて、つい買ってしまった・・
Posted by ドルチェ at 2006年12月11日 08:32
こんばんは、ドルチェせんせ。「様」付きですか。
じゃあこのLP、見たらブッ飛ぶファンがいるんでしょうね。冬の街で物憂げな様子でこちらを見ているおじさんのこの写真。
「展覧会の絵」を初めて聞いた(ラヴェル編曲ですが)のは、もう30年も前の中2の音楽の時間でした。最初のトランペットがとても印象的でした。教室が音楽室の近くだったので、2年の他のクラスの音楽の授業を心待ちにしていました。だって音楽室から小さいけどプロムナードが聞こえてくるんですよ。当時10クラスあったので、他のクラスの音楽の時間を含めるとずいぶん聴いた様な気がして得した気分でした。
Posted by bwv582 at 2006年12月19日 00:09
bwv582さん
他の授業中、気もそぞろだったのかしら。
音楽室に近いお教室で、ラッキーでしたね。毎日BGMつきで授業。
聴きたくない音まで聞こえてくることもありそうだけど。
冬の街で物憂げなおじさま? そそるなぁ(笑)。
って、別に見た目好みじゃなくても、CD買いますけどねー。って当たり前か(爆)。
なるべくジャケット写真見ないように、裏返しにしといたり!?
わりと、体格とか、顔の雰囲気とか、みなさん音楽にも出てるような気もします。
好みはともかく、音楽家にしてもスポーツ選手にしても、活躍に比例して、やはり魅力的な良い風貌をしていらっしゃいます。充実してるのかな。
Posted by ドルチェ at 2006年12月21日 08:01
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